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2010年4月

2010年4月28日 (水)

映画制作悲喜こもごも (1)

日活ロマンポルノ全盛期から
私の作品は何本も映画化されている。
その中でも何度も繰り返し、映像化させているのは
やはり「花と蛇」である。
谷ナオミが演じ、杉本彩が演じ、今回は小向美奈子が演じる。
その他にも
真咲乱、麻生かおり、小川美那子、長坂しほりも主演している。
それから漫画、アニメにも、ゲームにもなっている。
私自身よく把握していない。

原作者の私が言うのも変だが、
「花と蛇」は完全なる勃起小説であり、
純然たる猥本である。

SM小説の金字塔と言われると、
若かりし頃の勢いに任せて書いた本だけに
うれしいようなはずかしいような
複雑な心境なのだ。

私が自分の官能作品の中で
特に気に入っている作品を上げるとすれば
「肉の顔役」(幻冬舎)である。

これは戦後の混沌とした時期を舞台にし、
戦争によって荒んだ精神と性、
善と悪をテーマにした、
私にしてはかなり力を込めて書き上げた作品だけに
何でこの子に日が当たらないのだろう、
と不思議に思うのだが、
作家と読者、またプロデューサーの趣味嗜好は
必ずしも一致しないということは
今に始まったわけでもない。

現在、「肉の顔役」は
「快援隊」(竹書房刊 長田要氏画)という雑誌で
漫画化されている。
8年前、「肉体の賭け」(幻冬舎刊)も
「紅姉妹」(ブックマン社刊 如月 次郎氏画)
とタイトルを変えて漫画化され、
イマジネーションが刺激され、
自らメガホンを取って
この「紅姉妹」を映画化した。

今、また漫画「肉の顔役」を見ていると
沸々とイマジネーションが沸いてくるのを感じるのだが、
映画制作を成し遂げる体力がない。

敏腕プロデューサーのお眼鏡に叶えばと密かに願っている。

おせちも良いけどカレーもね、
なんてフレーズがあったが、
たまには「花と蛇」も良いけど「肉の顔役」もね、
といいたくなるのだ。

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2010年4月26日 (月)

季刊誌 悦 4月23日創刊! 団鬼六賞 創設!!!

 『SM小説は単なるポルノでは終わらせない、俺が '文学’ にまで高めてやる』
季刊誌 悦  4月23日創刊! 団鬼六賞 創設!!

 「創刊に寄せてを」寄稿してますのでご一読くだされ ば幸いです。

 また、 団鬼六賞 なるものも創設されましたので奮ってご応募ください。

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夕顔夫人 無双舎文庫より 4月 23日発売!

夕顔夫 人 上下巻 無双舎刊 4月23日発売

「花と蛇」と双璧をなす団鬼六のサド文学の最高峰!貴夫人姉妹の妖しい疼き。

天野喜孝氏の華麗なる装丁で圧巻です。

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老犬アリス

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アリス 9歳

人間で言えば63歳。
私から言わせれば
まだまだお若い。

だが、最近は老齢と、肥満のため、
2階に上がれない。

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あぁ~、しんど…。

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2009127日記


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2010年4月23日 (金)

ココセレブ Specialインタビュー 後編

4月22日より
 @niftyココログ ココセレブ Specialインタビュー
後編が掲載されております。

インターネットでは公開されたことの少ない
団鬼六、アウトロー人生のインタビュー
前篇とあわせ、是非お楽しみ下さい。

★『直筆サイン入り本プレゼント』もありマス★

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2010年4月22日 (木)

我、ガンになりたり

本日発売の小説新潮に
 「我、ガンになりたり」 
手記掲載しております。

小説新潮最新号目次

尚、ファンの皆様へ
団鬼六よりメッセージがございます。

********************************************

ファンの皆様へ

 皆々様には大変ご心配をおかけして心苦しく存じ候。
 小生の心境は「小説新潮」に綴りたる故、
 ご一読賜れば小生の喜びこれに過ぐるものなし。

 現在、治療経過、至って良好故、
 己が、ガンである事を忘却し、
 酒煽り、好物を喰らい、また家族に小言を言われる始末。

 我は死なぬ為に延命するは望まず。
 大いに仕事し、大いに楽しみ、生を満喫するために死ぬまで生きることを欲す。

 身体の許す限り、執筆もインタビューも承り候。

 皆々様のお声が小生の励み、我が最大の治療薬なり。

 皆々さま、今後とも団鬼六をよろしく、
 死ぬ日が来るまで何卒よろしくお頼み申し上げるものなり。

                                   2010.4.22 団鬼六

【 PC> http://ow.ly/1A6wg : 携帯> http://ow.ly/1BvQj

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2010年4月21日 (水)

原稿紛失(「原稿紛失騒動②」)

未完の著(「原稿紛失騒動①」) より続き

しかし、いよいよ、
「鬼プロ繁盛記」も最終回を迎えたし、
意を決して書き出そう、と思ったら
途中まで書いた原稿が見当たらない。

普段なら
「あ~ぁ、じゃ、しゃーないな。」
と諦めて
ゴロンと寝てしまうのが常だが、
今回ばかりは仕方なく
恐る恐る編集者A嬢に
最新(と言っても1年ほど前に書いたものだが)の渡した原稿を
送ってもらうことにした。

「今更何をおっしゃってるんです。
もう書き終わったから取りに来いという電話かと思いましたわ」

なんて愚痴の一つも言われるかもと思いながら。

ところがAのところにも原稿が見当たらないというのだ。

「そりゃ、どう言うことだ」

自分のことは棚に上げて、俄然、私は優位に立った。

「なんや、原稿さえ揃っていれば、三日で書けるのに」

とさも残念そうにいい、
横で、

「ならなんでもっと早く書かないのよ」

と言う妻をシッシと追いやりながら、

「原稿をなくすとは君、大変なことだよ」

と言ってAを逆に責めだした。

電話の向こうで必死になったAがペコペコ頭を下げてるのがわかる。
ああ、痛快。

 続く…

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2010年4月19日 (月)

インフルエンザ

透析治療中、
「インフルエンザのワクチンを受けますか、受けませんか?」
と看護婦が聞いて回ってきた。

どうやって受けるのか、
と聞くと
ワクチン接種は注射だ
と言うから、
週に3回も、こんなぶっとい注射針を入れられるのに、
その他にまた注射するなんて、
ご免こうむります、
と言って辞退した。

ところが、
私以外皆受けるらしい。

皆よくこの期に及んで
自ら望んで注射を打つ気になるなぁ、
と家でぼやいていたら、
横で聞いていた妻と娘に
猛然と抗議され、
こちらの言い分も聞かず、
病院に電話して

「受けるか、受けないか、なんて生半可なこと聞かないで
有無を言わせず、注射しちゃってください。
感染したら、本人だけでなく、皆さんにご迷惑ですから!!
本人は不良患者ですから、
今後そういうことは家族に相談してください!」

と容赦ない。

電話を切るや否や、
今度はキッと私を睨みつけて、
ワクチン接種するまでは、外出禁止だ、監禁だ、
と喚いていた。

ホント、マゾの心境にならないとやってられない。

20091124日 記

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2010年4月16日 (金)

ワイドショー

朝はワイドショーを何とはなしにみている。
酒井法子の覚せい剤事件にも
いささか飽きてきたなぁと思っていたところに
今度は34歳の女の結婚詐欺事件。
ワイドショーはネタに困らない具合に、新たな事件が勃発する。

江戸、明治、大正、
いつの時代にも毒婦というのは世間を騒がし、
私も小説やエッセイによく取り上げてきた。

今回のはまさに平成の毒婦と言えるだろう。

こういった毒婦に共通して言えるのは、
大した美女ではない、
ということだ。

男好きする顔というのはあるかもしれないが、
決して敷居の高くない程度の容姿で
むしろ地味な女。

しかし内面では
自己顕示欲は強く、上昇志向は高い。

そして被害者意識が根底にある。

ブログに
「王子様を夢見て…」
みたいな言葉が頻繁に出てくるようだが、
いい意味で純粋、
逆に怖いくらい幼稚で現実逃避を繰り返す。

まだ顔は公表されてないが、
事件の追及ともに最近もっとも興味のある出来事である。

誰かがノンフィクション小説に仕立て上げるかもな、
オレがやったろかしらん??

20091111日 記

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2010年4月15日 (木)

ココセレブ Specialインタビュー に登場!

4月15日、4月22日の
2回にわたり
@niftyココログ ココセレブ Specialインタビュー
が掲載されます。

インターネットでは公開されたことの少ない
アウトロー人生のインタビュー
是非お楽しみ下さい。

★『直筆サイン入り本プレゼント』もありマス★

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【レビュー・書評】悦楽王 - [評者]穂村弘(歌人)

2010年4月11日 朝日新聞 書評に掲載された『悦楽王』書評が、
アサヒ・コムに掲載されました。

是非ご覧ください。

【レビュー・書評】悦楽王 [著]団鬼六 - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

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2010年4月14日 (水)

未完の著(「原稿紛失騒動①」)

もう何年がかりの執筆か、
ちくまで『雁金準一』という碁打ちの話を書いている。

連載は透析に入る前に未完のまま打ち切って、
結末は本が出版されてからのお楽しみ
ということで未発表のまま書き続けている。

担当だった編集者A嬢も
既に退社してしまったが、
「この作品は会社を辞めてからも私が担当します」
と言う。

素直に辞めてもいいのでは、と思うのだが、

「そうは行きません」

と息巻いていて再三、

「先生、早く原稿を!もう書けるでしょ!」

と半ヒステリックになって電話がかかってくるのだ。

それもそのはず、
待たせること、早3年。

書かねば書かねばと思っているのだが
どうしても他の連載が優先になり書けない。

夢にまで
Aの責めの電話がかかってくる。

「いつまでも逃げられるとお思いになって? 私、もう待ちきれなくて…」

という電話を取るが、
急に後ろに気配を感じて振り返ると
携帯電話を左手に、
右手に鞭を持ったAが
薄ら笑いを浮かべて立っている、
というゾっとするもの。

私はほぼノイローゼになっていた。

 続く…

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2010年4月12日 (月)

【対談】康 芳夫(国際暗黒プロデューサー) 最終回

団:
その昔、たしか新宿御苑に面した辺りに
家畜人ヤプーのファンが集まるスナックみたいな店があったよね?
康さんあそこにも関係してたの?

康:
はははっ。先生、関係してたどころかオーナーみたいなものですよ、僕は。

団:
あらっ、なんだそうなの(笑)。
僕も二、三度覗きにいったことがありました。

リポーター:
僕も先生がやってた雑誌「SMキング」の取材で行きましたよ。

康:
いやあ、実はあのスナックの入ってたビルは
当時読売巨人軍の王選手の持物で、
彼は同じ中国人でもあり昔から友達なので、
その一階を借りて「家畜人ヤプークラブ」っていうのを作ったんです。

リポーター:
その名もズバリですか(笑)

康:
そうしたらこれがメチャメチャ流行っちゃって。
当時の若手の作家、遠藤周作、吉行淳之介、立原正秋なんかが
銀座からホステスを連れてきてました。

団:
そう、たしか余りにハチャメチャやったもんで
パトカーなんかも良く来てたらしいね。

康:
今で言うところのハプニングバーですね。
中で客同士がSMプレイおっ始めるし、まさに阿鼻叫喚の生地獄さながらでした。
最後にはこれ以上エスカレートするとまずいってことになって
自主閉店にしました。
半年くらいでしたか。

団:
懐しいね、昭和四十年代の香りがする。
そう言えばあの当時から
会員制のSMクラブが都内にポツポツあったよね。

康:
そうです。非営利で本当の同好の人間のみの。
弁護士、医者、大学教授、俳優、文化人……。
僕も呼ばれていったけど、まあとんでもない光景でした。
そこに来ていた人の名前を言っちゃうと、
週刊新潮の特集記事が5週間くらい埋っちゃう(笑)

リポーター:
そう言えば先生が主宰していた鬼プロの来客も錚々たる顔ぶれでしたね。

団:
『鬼プロ繁盛記』に書いていますから是非、読んでください(笑)

康:
ところで先生と文学の関わりって?

団:
いやあそれが大したことないんです、正直言って。
うちにあった小説と言えば、吉川英治の「宮本武蔵」とか、
久保田万太郎、川口松太郎らの大衆文学ばかりでした。

康:
先生はたしか三浦三崎で英語の教師をやっていらっしゃったですよね。
すると欧米文学はかなり読まれた……?

団:
いやいや、それが自慢じゃないけど、外国文学はまったく苦手でした。
当時流行っていたモーパッサンもフローベルも、
トルストイもヘミングウェイも一度も読んだことがないんですわ(笑)

リポーター:
そうそう、鬼プロにいた頃、当時のSMキング編集長に
君はジョルジュ・バタイユやマルキ・ド・サドを読んだことあるのかって聞かれて、
ポカンとした顔をしたら、
彼がそんなことでSM雑誌を作れるかってひどく馬鹿にされました(笑)
先生が横で聞いていて、
いらんいらん、SMは人間の心理学だ、
坂口安吾とか太宰治を読めば十分と助け舟を出してくれました(笑)

康:
その日本主義者の団先生が、
よくぞ家畜人ヤプーに目を付けてくれましたね。

団:
まあ一種のないものねだりかも知れませんね。
それとあの本を日本人が書いているというのも、理由の一つです。
しかも覆面作家だという好奇心もあるね。
僕は根っからの関西人なのか、ものを書くのは商売として儲かるって思ってました。
ペン一本、紙一枚で原価がほとんどかからない。
理屈は関係なしです。だから文学青年とは肌が合わない。
その癖家畜人ヤプーには妙に引かれた。
中味は小難しくて余り分らなかったけど(笑)
おそらく、趣味人の匂いがしたんでしょうね。

康:
先生は実際のセックスでSMプレイはなさらないとお聞きしましたが。

団:
そうです。縛りとか鞭とか、ありません。
ノーマルもノーマル、だからそんなことを期待してこられる女性にしたら、
なんだ大したことないじゃないってよく言われる(笑)
すべて妄想の産物ですよ。

康:
だから家畜人ヤプーに興味を持たれたんですよ。
あれも超インテリ人間の100パーセント妄想ですから。

団:
私の場合、映画やポルノビデオをいくら見ても興奮しません。
やっぱり活字なんです。
でも最近のポルノ文学、官能小説は薄口すぎて、まるで興奮しなくなりました。
むしろ、素人に近い新人が書く官能手記にエロチシズムを感じますね。
だからこの悦楽の森文庫でも、どんどん新人作家を起用していこうと思っています。
とくに欲求不満の最たる存在の主婦やOL、
彼女たちが書く小説には匂いと体温が感じられますよ。

康:
先生が精力的にSM小説を書いておられた昭和四十年代は、
SMって言葉自体が発禁みたいに扱われていた気がします。
それがいまどきの高校生ぐらいの女の子が平気でSMって言葉を使っていますよね。

団:
たしかにまるでファッションみたいに思ってるね。
ボンデージ、スパンキング、皆横文字ですよね。
ところが、ソフトになればなるほど、マニア以外の読者が増えていきました。
私の「花と蛇」なんかトータルすると100万部は軽く超えたらしい。
もっともあれは昔からマニアックなんですが。
こちらとしては儲ってしかたないけどね(笑)

康:
この間、二十二歳の大学院にいる女子大生と話しをしたんです。
キミ、団鬼六って作家、読んだことあるかって。
そしたら、あっ、杉本彩の「花と蛇」の原作者でしょって。
僕が一度欺されたと思って読んでみなさいって。
すると彼女、ネット検索で「花と蛇」を買って読んだらハマっちゃって。
いまではオナニーのおかずNo.1らしいです。

団:
えらい時代になったもんやね。「花と蛇」をおかずにしてるんだ(笑)。
毎度ありがとうございます(大笑)
ところで実際の沼さんって、どんな方なの?

康:
沼さんの夜の顔については、凄まじいことがいっぱいありましたよ。
彼の家の近くにあった東京女子大の旧式女子トイレの肥溜めに忍び込んで、
消毒液で全身を火傷したり、とか。
さっきの家畜人ヤプークラブでの奇行なんか数え切れない。
倉橋由美子君の「マゾヒストM氏の肖像」のモデルはまさしく彼です。
倉橋由美子自身が沼正三のファンだったので、あの小説が成立したんでしょうね。

団:
僕は三島由紀夫って作家は生理的に好きじゃないんだけど、
その三島が家畜人ヤプーの熱狂的ファンだというのは
大いに理解できるんです。

康:
それは三島由紀夫自身にM的な傾向があるからでしょうか?

団:
それもあります。
三島がホモセクシャルだったということも多少あります。
大体がマゾのホモセクシャルというタイプの男は外見、マッチョで仁侠道が好きだね。
それに大変なおシャレです(笑)

康:
東洋の風水学における陰陽と、SMって対比はどこか似ている気がするんですが。

団:
私もそう思うね。両極という以外にも、一つの象徴的な価値観としてですね。

康:
男女問わず、誰しもSとM、どちらもある……。

団:
そうです。全員にあるんじゃないでしょうか。
その狭間に俗にSM小説ってものがある。
男って偉そうな奴ほど、案外、M的な人間が多くてね。
インテリの場合もそうです。

康:
たしかにインテリと呼ばれるタイプほど精神面の斬った張ったに弱いですね。
ナイーブすぎると言うか。脆いと言うか。
純粋さゆえに、一方ではそれをメチャクチャにしたい。
いわゆる二律背反、アンビバレンツです。

団:
私が自著のサインに添える言葉に
"何しようぞ、くすんで一期は夢よ、ただ狂え"があるんです。
室町時代の歌謡を綴った「閑吟集」の一節です。
文学だってエロだってええじゃないか。
人が騒いでたとえひとときでも元気になれば、それでよしとしましょうか(笑)


(完)

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2010年4月 9日 (金)

【対談】康 芳夫(国際暗黒プロデューサー) その2

リポーター:
海外経験の長い康さんにお聞きしたいのですが、
SMプレイの象徴的なプレイであり表現である「緊縛」は、
日本と西欧ではかなり違いがあるのですが?

康:
ヨーロッパで言うと緊縛という概念はドイツを除くと、最近出てきた現象です。
アメリカを見るとあまり緊縛は好きではない。
向こうの主流は圧倒的にスパンキングです。
たまにスキンマガジンで緊縛グラビアが出てきますが、
カラッとしているというか稚拙というか・・・。

団:
たしかに欧米の縛りはただ拘束するというだけですね。
むしろ、手錠や手枷足枷の類でしょう。
どうも西洋人という人種は生まれつき不器用なんじゃないの(笑)

康:
おっしゃる通り!日本では縛り方に名称までついてますからね。
高手小手、亀甲縛り、七段縛り・・・。

団:
それは江戸時代の捕縄術から由来したんですわ。
私が「外道の群れ」という小説で責絵師の伊藤晴雨の世界を描いたとき、
緊縛術という世界が江戸時代から綿々と続いており、
春画の世界の大テーマの一つであったということを知りました。
だから余計に家畜人ヤプーに出てくる色々な器具、
中には荒唐無稽なメカニックな道具もあったんだけど、
それに興味を引かれましたね。

康:
たしかに西欧は宗教裁判や魔女裁判の伝統があるから、
拷問に器具を使うのが特徴的ですね。

団:
私はそういった責め道具を作る連中の想像力を凄いと思うね。
それを考えるときが一番の快楽で貞操帯にしろ、鉄仮面にしろ
綿密に計算されて、いかにいじめてやろう、
いかに辛いものにするにはどうしたら良いのか、
とことん突きつめているね。
その点、日本の責め具は適当といえば適当(笑)

康:
たしかにありあわせの物が多いです(笑)

団:
芸術的な作品の一つに鉄の乙女というものがあってね。
別名ニュールンベルグの処女といってます。人間の形をした大き目の箱です。
下がスカート型になっていて、最中の皮みたいにパコンと合わせる仕掛けです。
内側に無数の釘が打ちつけられていて、その中に女性を入れて、蓋を徐々に閉めていく。
下に溝が掘られ、その溝を血がつたっていくという惨酷な責め道具です。

康:
先生にお聞きしたいのですが、
覆面とか猿ぐつわといった目隠しの類は古今東西共通したものなんですか?

団:
似て非なるものですね。日本の猿ぐつわは豆縛りで口を塞ぐのですが
「アー」とか「ウウッ」とか苦悶の声が必ず洩れます。
その苦悶の声や荒々しい息づかいがエロティックなわけですね。
ところが西洋の場合、拘束具の中に金の玉が仕込まれていて、
舌の機能をシャットアウトしてしまう。
つまり、声がほとんど出ない。出るのは涎れだけです。

康:
なるほど

団:
その上、目にテープをグルグル巻きにしたりするものだから、
これはほとんどエジプトのミイラですよ。(笑)
僕が描くのは、小町娘が猿ぐつわをかまされ哀しみと屈辱で目が潤んでいる様です。
これが実に色っぽい。
西洋のイラストを見ると、目も口も全部が塞がれて、
どこにも被虐美が感じられないわけですよ。

康:
その団先生が家畜人ヤプーのような
マゾ的モダニズムの倒錯世界に引かれるというのが面白いですね。

団:
たとえば、向うでは四つん這いになるというのは、
男女を問わずに最高の屈辱ですよね。
まして、Sの女性が革製品を着てMの男の上に馬乗りになる。
そして、女はムチで男を叩きまくる。
これは、日本の倒錯エロチズムにはめったに登場しません。
まさしく、欧米ならではのエロスですよね。

康:
そうですね、
たしかに欧米は皮製品に象徴される肉食文化だし、
日本の縄やムシロは農耕民族の生み出したものですね。
まさしく皮VS縄の構図ですね。
沼さんが第二次大戦中の中国大陸で戦時捕虜を見聞きしたことが
「家畜人ヤプー」の原点になったとしばしば指摘されたりしますが、
それは部分的なものを拡大解釈しているような気がします。
彼のマゾヒストとしての性癖は、
戦争体験にだけ還元できるものではないと思います。
日本民族としてのエロスのあり方と、
ごくごく私的な自分のマゾ性が絡み合って、
その結果非日本的つまり西洋的シチュエーションを舞台としたという気がします。
三島由紀夫を筆頭に澁澤龍彦、倉橋由美子、曽野綾子、・・・
錚々たる顔ぶれが実は関わってます。
三島由紀夫に関して言えば、
三島の中に強烈なマゾヒズムが潜んでいて、
それが彼を強く揺さぶったのかと思いますが・・・。

リポーター:
以前団さんが何かの雑誌で日本と西洋のエロスの違いを鎧を例に上げられました。

団:
ヨーロッパの中世の頃の鎧と日本の戦国時代の鎧を比べてください。
機能重視の西洋の鎧に対して、日本の鎧は様式美、色彩美に溢れています。
戦いの中でもそういった美的感覚を忘れないのが
日本ならではの美意識ですよね。
たとえば僕はよく切腹における様式美を小説に書きます。
江戸時代に入ると切腹という究極の残虚行為の中にまで美意識を求めるんです、日本人は。
腹を一センチか二センチ、スゥーっと切ったところを見計って首を斬る。
それが一つの型になり、切腹の中にまで様式、作法を見出すようになるんです。
だから、何でもかんでも死ねば良いというわけじゃないんだ。
磔の絵を見ても、十文字に美しく縛り上げていて。
石川五衛門しかり、国定忠治しかり、皆見事なまでに美しい幾何模様で縛られています。

康:
その通りですね。エロチズムほど人それぞれ、国それぞれ、民族それぞれ違うものはないですね。

(続く)

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2010年4月 7日 (水)

【対談】康 芳夫(国際暗黒プロデューサー) その1

~ 一期は夢よ、ただ狂え ~

「ほんの2年前の夏のことでした。
持病の腎臓病が悪化し、掛かりつけの医者に
明日にでも人工透析の施術に掛からないと、余命はもって二ヶ月です
と鬼のような顔で宣告されましてね。
以前から何度も何度も透析手術を受けろと言われ、
その度に俺はそんな女々しいことまでして生き延びる気はないと、
腕組みしてはふん反り返ってきたものだから、
いまさら、ハイ分かりましたなんで格好悪くて言えませんがな・・・」

と団鬼六が苦笑いをした。

携帯電話コンテンツ「悦楽の森文庫」の監修を引き受けるに当り、
団鬼六が二つの条件を出した。
一つは、この悦楽の森文庫を創刊することで、
新人官能作家をどんどん発掘したいと。
もう一つは、オープンに当って「花と蛇」と並んで、
沼正三の「家畜人ヤプー」を携帯小説化してほしいということであった。


リポーター:
まるで、作風も趣向も異なるので、団先生は興味がないものとばかり思ってましたが…。

団:
いやいや「家畜人ヤプー」はかれこれ50年前、
私が「花と蛇」を雑誌奇譚クラブに連載していた頃から注目をし、愛読してました。
いったい、どういう人物がこの珍無類な空想官能小説を書いているんだろうと。

ご存知のように、作者沼正三氏は昨年11月80歳で亡くなっている。
沼正三はあくまでもペンネームであって、作者は彼の死去まで明らかにされなかった。
それが、昭和の平成の出版界の最大のミステリーでもあった。
ただ、全権代理人として伝説のメディアプロデューサー康芳夫氏が、
過去の事実関係をすべて握っているというのが衆目一致するところである。

自慢のプラチナブロンドの長髪をたなびかせて、
伝説の怪人、康芳夫氏が悠然と姿を現した。
団鬼六が沼正三の正体に迫り、
康芳夫が団鬼六の「花と蛇」の真実に迫る。――

リポーター:
資料をひも解いていると
「花と蛇」と「家畜人ヤプー」にはいくつかの共通点が見られます。
まず、出版の出自が同じ、奇譚クラブであることです。

康:
そうなんです。
大阪の堺で発行していた戦後最大のカストリ雑誌ですね。
蓑田さんという、大阪・北浜の相場師がオーナーでした。

団:
私が連載中に、おっ、変わった小説が載ってるなって思って、
当時の吉田編集長にいったい誰が書いているのか尋ねた記憶がある。

康:
私はオーナーの蓑田さんに連絡先を聞いても、最初は教えてくれなくて。
何度かやりとりしているうちに渋々教えてくれました。
ところで、作風も文体も世界観もまるで違うのに、
先生はどうして「家畜人ヤプー」に興味を?

団:
まず、タイトルが目を引きました。
得も言えないエキゾチズムの香りがある。
それでいながら高級なエロチズムがチロチロ舌なめずりしていました。
よほどの教養人でないとあのタイトルは考えられないね。

康:
そうなんです。
「家畜人ヤプー」には当時のそうそうたる教養人が様々な形をとって関わっていたのは確かでした。

団:
過去に小説の世界で、
「家畜人ヤプー」ほど真実の作家が誰なのか、
取り沙汰されたケースはたしかないんじゃないの。
そこから推理して、私は倉田裁判官説をとっているのです。
裁判官なら、あの変態的小説の作者だと言うことが明るみに出るのはマズい。
普通に考えればそうです。

康:
事実関係を知り尽くした者として、倉田元裁判官関与説を全否定はしません。
だからといって全肯定もしません。
非常に微妙でこみ入った関係性と言いますか、
コラボレーションのブレーンの一人であったことは間違いないです。

団:
なんや歯に物のはさまった説明やね。(笑)
関係者の一人であったことは確かなんだね。

康:
英語で言うところのジョイント・ワークですね。
では、日本語で云う「共同執筆」かというと、それは正確じゃない。

団:
とすると巷間言われてきた、
新潮社の校閲部員だった天野哲夫さんが実質的な執筆者であることは確かなんですか?

康:
百パーセントではありませんが、そう思っていただいて結構です。
一点だけ、倉田さんについて事実を明かしますと、
彼は現役の裁判官時代つまり、長野地裁の判事の頃に相当数のSM小説を書いていました。

団:
ほう、じゃ私と同業者だったわけだ(笑)

康:
そうなんです。
団先生は確か三浦三崎で高校の英語教師のかたわら「花と蛇」を書き、
倉田さんは裁判官のかたわら、SM小説を書いてはカストリ雑誌に投稿していたんです。

リポーター:
いまの時勢だったら大騒ぎになるところですね。

康:
いや、雑誌「諸君」が、特集に事をのせ、それが原因で当時噂が広がり、
長野地裁判事を経て、東京高裁判事まで昇りつめた倉田卓次氏は
内定していた最高裁判事の座を棒に振っちゃったんです。

団:
実は私、連載当時に奇譚クラブの吉田編集長から、
沼正三が書いた私へのファンレターをもらったんです。
細かい神経質そうな字がびっしり詰まってました。

リポーター:
どんな内容でした?

団:
そんな50年も前の手紙を覚えてるわけないよ。

リポーター:
失礼しました(笑)

団:
ただその几帳面な書体を見て、
ああこれがあの沼正三の筆跡なのかといまだに記憶に刻まれているのだから、
さすがといえばさすがだね。

康:
50年前のほぼ同時期に、
しかも奇くも同じ雑誌で掲載された長編官能小説が
いまだに売れ続け騒がれ続けているというのも、
思えば奇跡的なことだと思いますよ。

団:
私もあの頃青春の奔るまま書いたオナニー小説が、
いまだに印税を稼いでくれるなんて思いもよらなかった(笑)

リポーター:
類似点が多いといえば確かにそうなんです。
まず、掲載誌、掲載時期がほぼ一緒。
両書とも、ベストセラーで
しかもいまだにロングセラーとして、一時代を画した存在であること。
文庫化、漫画化、舞台化もされている。
「花と蛇」は度々映画化されていますし「家畜人ヤプー」は現在企画、制作進行中です。
両書とも、未定のまま終わっている・・・。
ほとんど双生児の兄弟といって過言ではないですね。

(続く)

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2010年4月 5日 (月)

初NHK!

NHKBS2 「MAGネット」にて
団鬼六HP、ツイッターを紹介
4月11日(日) 夜11:50~ 放送予定

... 起こっているのかを徹底紹介する全く新しい番組、 それが「MAGネット」 ...

Mga

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2010年4月 2日 (金)

花と蛇Ⅲ 映画化によせて (3)

花と蛇Ⅲ 映画化によせて (2) から続き

私は今回の主演女優、
小向美奈子という女性とは
まだ直接に会った事がないので知らない

以前、東映ビデオの「花と蛇」の時は
主演 女優の杉本彩とは
クランクイン前に何度も逢って、
打ち合わせをしたように思うが、
小向美奈子に関しては
グラビアアイドルから覚醒剤による逮捕、
それがロック座でストリッパーとして復帰、
ということだけを
プロデューサーから聞かされていただけだった。

原作の静子夫人とは
とても縁遠い女性に思われるが、
彼女の経歴には
かなり謎めいた部分が潜伏している。

そこが
謎の女、静子夫人にも共通しているところがあり、
ロック座のステージでは
「ピ ンク色の乳房」とか、「スライム乳」で、
大観衆の喝采を受けた小向美奈子が
温良なる淑女でありながら、
性に貪欲で、SM好きの静子夫人を
如何に演じてくれるか、
楽しみにしているのである。

(完)

Nhanahebi2_oota_1993



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