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2010年3月 5日 (金)

作家家業

新作が書き終わった。
今日が最終締め切りだ、と言われ、
最終原稿を送ったのは日付変わって午前4時半であった。

ああ、しんど。

書くことが好きで好きで仕方ない、という作家がいるが、
私は50年以上作家家業を続けてきているが
書くことが好きで好きで仕方ないと思ったことはない。
むしろ、
これ終わったら、どこどこの温泉地に行こう、
とか、
バー○○ちゃんとこへ早く行ってやらねば、
と思ってしまうわけで、
出来ることなら早く仕事を片付けて、遊びに行きたい。

しかし、現在、透析治療中故、
その遊びもままならず、
気がつけば、透析後の方がずっと多くの仕事をこなしている。

同年代の友人は皆引退して
のんびり余生を過ごしているのに、
今まで遊びほうけてきた罰なのか、
老境の域に達しても尚、仕事するしかないのである。

多くの作家は書くことが快楽になりえる。
でも、私はそうも思えない。
思えないのだが、書き始めていくと、手が抜けない、
妥協できない己が出てきて、
ついついのめり込むように書き込んで、
予定の枚数を大幅に越え、締め切りぎりぎりに提出することになる。

書くのが嫌いなら、適当にはしょって書けばいいのだが、それができない。
書くのは好きじゃないのだが、書くしかできない。書かないではいられない。

一日中机にへばりついての孤独な職業は
見ようによっては自慰行為、ナルシストの変態稼業である。
こういう仕事は俺には向かん、やめよう、と思いたっても、
物書きに引きずり戻されてしまうのは宿命かもしれない。

何度、執筆稼業から足を洗おうと試みたことか。

それでもここに戻ってくる。

別れよう、別れよう、と思っても別れられない女のようだ。

作品を書くたびに自分の中の矛盾を感じている。

(2009916記)

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