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2010年3月 8日 (月)

うれしはずかし

SMに市民権を与えたのは私だと言われている。

こうして己の顔が
デパートの書籍コーナーで並んでいるのを見るとなにやら、
迫害を受けてきた性倒錯者たちの仇を打ったような、
偉業を果たしたような感慨が沸いてくる。

私が「花と蛇」という珍小説を書いたのは、
いまから40年以上昔である。
そのころにはまだ、SMという言葉すら存在していなかった。

当時、創刊された雑誌「裏窓」には
「サディズム アンド マゾヒズムコーポレーション」
という長ったらしい副題がついていたから、
私が 『頭文字のSMだけにしたほうがいい』
と出版社に進言したのが始まりだと覚えている。

これで商標登録でもしていたなら
どんなに儲かっただろうかと思うのだが…

それはさておき、40年も前だと、
この種の嗜好は間違えなく変態扱いされていた。
ふつうの書店ではまず、扱いがなく、
あっても、薄暗い書店の隅に、追いやられていた。

今改めて、私の書籍が堂々と
他の著名な作家の方々と一緒になって並んでいるのを見ると
時代の流れを感じずにはいられない。

メジャーデビューを果せたような感動も覚えるが、
なかなか手に入らない本として、
日の当たらない、日陰の名花であっても欲しかった。
SMの楽しみ方というものは、
隠れキリシタンのつどいみたいに
秘かに集まってするもので、
そこに、高貴さと淫靡さが共存できる。

ましてや、その作家が
こうも堂々と表紙を飾るとは!

この状況をマゾッホやマル・キ・ド・サドが見たら
そろって腰を抜かすだろう。
変態作家なるものは、
岩穴に住む山椒魚みたいに、
ひっそり息づいておればいいのである。

とはいうものの、
生来、煽てられたり、どんちゃん騒ぎが好きな性分故、
正直に嬉しくもあり、来訪者に例外なく見せびらかして
「どう?これ」 などといいながらニヤついている自分を見てると、
作家としてまだまだだなぁ、
と知覚せざるを得ない。

だから人々にSMの巨匠だとか、
ポルノの大家などと呼ばれると、
なんだか恥ずかしくなって、
私のような初心を捕まえて何をおっしゃると、
世間に言いたくなってしまうのだ。

Pic20090919

(2009919日 記)

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コメント

19才の大学生です。

団さんの、狂ってこその人生なのだ
ということばに

なんだか元気というかわかわく感というか

そういうものをもらいました。

まだ狂ったことのない、
失敗を恐れたり
真面目な僕なので


勇気を出して
狂えたらいいなぁと
思っています。


ブログやってたなんて
驚きですよ(^O^)/

投稿: やました | 2010年3月19日 (金) 04時46分

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